NOV/1996/Page-A-J


く起きたとある日曜日の朝。朝食は愛妻が心を込めて作成した巨大な箸のささったソバでした。見てくれはチョットだけれど、味はなかなか良し。しかしこの世の中、見てくれと真実とは随分違う場合が多いのはなぜだろう。まるで僕のように、かも。



といつものジャンケン。いつも娘はきまって最初にチョキを出す。だから僕は最初にいつもパーを出す。いつまでもこんな事を続けている訳にはいかないのは分かっているのだが。いつの日か、僕はグーを出さなければいけない時が来る。きっと来る。その日がきてしまったら、5回勝負で俺は逃げる。


曜日の夜、僕が帰宅すると妻と娘はテレビにくぎづけになっていた。ドクというタイトルの最近の人気ドラマ。ドクは単純なストーリーで、ベトナムからの留学生ドクと日本語女教師のラブストーリーだ。僕がただいまと放つと、彼女達もおかえりと放つ。ただしコマーシャルが入るまでの時間、ついに彼女達の視線は僕に向けられなかった。平和な幸福な時間なのだ。アメリカでもヨーロッパでも同じだろう。しかしリトアニアあたりでは違う。でも局地戦が行われていた生活と比較する事にどんな意味があるのだろうか。小学生の頃の情景が頭をかすめる。父の転勤で住んだ広島市内。ベトナムで傷ついた兵士が毎夜岩国から大量になだれ込んで来る。外では手足がない兵士達の騒ぎでパトカーが出ている。部屋の中で僕は、"ナポレオン・ソロ"とか"全艦出撃せよ"のアメリカテレビ映画に夢中だった。



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